祇園町南側地区式目
  2・1 町式目の策定にあたって

 

 当祇園町南側地区にては、かつては、各戸ごとの朝の「かど掃き」、冠婚葬祭時や災害時にての相互協力、相互扶助、それに、日常での近隣同士にての様々な互譲互助の相互共同作業などのよき風習や習慣がありました。

 また、往事の人々には、他人の視線で自分を磨くというところが大切にされてきました。監視などという「敵意・悪意」を感じる性質のものでなく、お互いにお互いを意識するという程度の視線です。

 文化財的価値を有するようにまでなった祇園町の「各家の表の構えの様(町並み景観)」や「祇園情緒」と呼ばれる祇園町固有の文化は、この「意識」があってこそ洗練されてきたとも言えます。各家の表の作りや構えの様(町並み景観)や情緒だけではなく、おそらく接客方法を「接客文化」にまで高められたのは、お互いにお互いを意識する関係があったればこそです。

 周りと関係なく「勝手に生きる」のではなく、自分も周りもうまくいくようにする人が他所では「大人」と言われ、祇園町では「粋な人」といわれていたのではなかったでしょうか。

 そこで、今の時代にあって、互いに少しは背筋を伸ばして、戒めあい、チェックしあい、注意しあって、かけがえのない私たちのこの町並みを守り、未来へ引き継いで行くために、かつての人々の暮らしの底に流れていた日本的な生き方の知恵を学びたいと心から思い、その中で「町式目」に出会いました。

 「町式目」の式とは、法、掟、法規、規則、法則のことであり、「目」とは、条目のことで、「式目」とは、「箇条書きされた規則」とでもいった意味であります。

 往事の京都市内の各町内には、町衆自らの手で自らの町内を守って行くために、町内の自治を守る原理や原則をふまえ、町内の各人が取るべき行動の規範と範囲を、各町内ごとに「町式目」として定めていました。

 そこで、私たちは、今の時代にあってこそ必要なルール、守っていかなければならないルールを見つめ直し、整理し、纒め直し、ここに改めて、現代版「町式目」を策定しようとするものです。

 このルールを定めたからといって、それだけで全てがうまくいくとは考えていませんが、大方の期待には応えるものだと考えています。祇園町における近所づきあいの基本ルールともいうべきこの「町式目」を、今ここに、地区内の皆で考え、皆で定め、皆で一緒に実践していこうとするものであります。

   
  2・2 祇園町南側地区町式目(祇園町南側地区規則)
   

 

祇園町南側諸制度の内容

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